ビログ

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Oculus Riftを1年以上使って感じたメリット、デメリット、レビュー

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Oculus Riftを使ってきて感じた良いところ悪いところをレビューしてみる。

2019/5/1追記 Riftは終売となりRift Sへ

PC用VR機器を購入検討してこのページに辿り着いた人へ。
現在Oculus Riftは販売を終了し、後継機種のRift Sへとその役目を引き継いでいます。
この記事にメリットとして書いたことはそのままに、デメリットして書いてあるUSBポートを大量に要求してくるところや、ルームスケール対応のためのめんどくささ、セッティングの困難さが解決し、よりすぐれたハードウェアになっているようなので、今後はRift Sを検討してみてください。

【正規輸入品】Oculus Rift S (オキュラス リフト エス)

【正規輸入品】Oculus Rift S (オキュラス リフト エス)

 

 

メリット

安い

今はなんといってもこれだろう。
45000円でOculus RiftHMD本体)、Oculus Touch(ハンドコントローラー)、Oculus Sensor2台(トラッキング用センサー)が揃ってしまう。送料も込みだ。
もっともぼくは値下げまえに買ってしまった勢なのでこのメリットは享受していないのだが。

ヘッドホンつき

かなり質のいいヘッドホンが最初からついている。
見た目の高級感こそないが、少なくとも5000円クラスのヘッドホンの音はすると思う。
低音もしっかり感じられゲームには十分な音質。
被るだけで自動的に耳のところに来るので装着も楽ちん。
ただ、割と音漏れはするので、音漏れが気になる場合は別売りのイヤホンタイプに変更したほうがいいかもしれない。

軽い、小さい

Viveも今は軽量化されて物理的な重さ自体は差がほとんどなくなったが、重心位置や固定方法の違いで実際の重さの感じ方はRiftのほうがだいぶ軽い。

Oculus Touch(コントローラー)が優秀

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VR空間に「手」を持ち込むことに重点が置かれたコントローラー。
手に馴染むように自然に握り込め、重心が手のひらの真ん中にくるようになっている。
そのおかげで物を掴んだときや、崖やハシゴなど直接手で触れて登るアクションなどのリアリティは素晴らしく、コントローラーの存在が脳から消え、本当に手を使っている感覚になれる。

ボタンやスティックは静電容量センサもついており、「ボタンを押す」「ボタンを離す」状態だけでなく「ボタンに触れている」状態まで認識される。
これに対応したゲームだと細かい手の状態がVR内で再現されるので、細かいハンドサインまで再現できたりする。今大人気のVRChatなどはこの機能に対応しているので、自然に手の形を変えられる。

また、スティックがついているのも個人的には良い点。
VRゲームでVR空間を移動する方法は大別して「ワープ移動」と「スライド移動」がある。(細かく言うとグリップ移動や腕振り移動などいろいろなゲームがあるが)
ワープ移動は文字通りワープ、空間の一部をポイントしてボタン操作でその場に瞬間移動する。
スライド移動は普通の平面ゲームと同じ、キャラクターがヌルヌル前後左右に移動する。
VRゲームをやったことはない人は普通のゲームと同じスライド移動で何か問題が?なんの為にワープ?と思うかもしれないが、人によってはスライド移動は酔う。
ワープ移動は酔わないので、VRゲームではどちらかというとワープ移動のほうが主流。
このワープ移動方式ならスティックは基本使わないので関係ないが、スライド移動方式のゲームをやる場合はスティックが便利だ。
普通の平面ゲームでキャラクターが移動するのにスティックを使うのと同じ感覚で移動できるわけで、スライド移動にスティックを使うのは単純に遊びやすい。
ぼくはVRで全く酔わないので、スライド移動を多様するためスティックがあるTouchに大きなメリットを感じている。
また、平面ゲームをVR化したタイトルにたまにあるのだが(Skyrim VRなど)平面ゲームと同じように方向指示でメニュー項目を選ばせるゲームがある。
そういう場合もスティックがあったほうが選びやすい。

Oculus独占タイトルがハイクオリティ

Oculus独占タイトルは大きなデベロッパーが作ったハイクオリティなタイトルがいろいろある。
たとえばEpic GamesのRobo Recall。


Robo Recall Announcement Trailer

Riftを買うとタダで付属してくるタイトル(厳密にいうとTouch付属なのだが、今はRiftとTouchはセットなので)なのだが、さすがEpicと思わせる出来のゲーム。グラフィック、操作、サウンド、演出何もかもハイクオリティ。

CrytekのThe Climbもすごい。
これもさすがCrytekといえる凄まじいグラフィック。
オフィシャルトレーラーはTouch対応前のっぽいので、キズナアイちゃんのプレイ。
手で直接岩肌を掴んで登るというゲームなのでTouchとの相性も抜群。


【VRクライミングゲーム】The Climb

これらのハイクオリティタイトルはSteamでは買えない。
もっとも、独占とはいいつつもReviveというOculusにしか対応していないゲームをViveやWinMRで動くようにするツールがあるのでそれを使えば他HMDでも遊べる。
ViveやWinMRを買った人にも、この2タイトルは特に遊んでもらいたい。

ゲーム以外にもモデリングツールMediumや
https://www.youtube.com/watch?v=WywkU5ZBt2s
お絵かきツールQuillなんかも付属してくる。
https://www.youtube.com/watch?v=UPORHEhkNfY

SteamよりOculusStoreのほうが若干安い

両方で売っているゲームは少しだけOculusStoreのほうが安い(ストアの設定する為替レートのせい?)。
ただ、ぼくは両方で売っているゲームは高くてもSteamで購入している。
後に他のHMDを買った場合にSteamのほうが便利だと思うので。

またOculusStoreはSteamより頻繁にセールやバンドル販売を行っており安く買えるチャンスが多い。(ただ前述の通りぼくはSteamを優先しているので、あまり買わないのだが)
さらに2、3日本編がフリープレイできるイベント的なものも頻繁に行われている。

VR空間内にデスクトップを持ち込める

この機能がβ実装されたときに動画を撮ったので、これを見てもらえれば一目瞭然。


現在ではβ抜けして普通に使えるようになってます。デスクトップ画面をもってくるだけでなく特定のウィンドウだけだったり、複数ウィンドウだったりを自由に配置できたりでとても便利!
2018/11/22追記

腕時計機能ものちに追加された。VRゲーム内に常に表示される時計を持ち込める。

フレーム補間技術ASWが優秀

VRゲームは基本的に90fps以上で動作することが求められる。
fpsだと視界の移動に対する画面の追従がなめらかでなくなり、酔いやすくなる。
RiftにはASWという優秀なフレーム補間技術があり、ゲームが90fpsを割り込むような高負荷になるとゲームが半分の45fps動作に自動で切り替わり、落ちたfpsのぶんASWが補完して90fpsにしてくれる。
これにより要求スペックが下がり、重いゲームでも動くし、軽いゲームでも画質設定を上げるという選択肢が取れたりするようになる。

ただし、このASWというのはゲームによって相性がある。
文字がズラッと並んでいる画面だとか細かく複雑な画面のときASWが働くとフレーム補間にミスすることがあるようで画面がチラチラして逆に見づらくなることがある。
ほとんどのゲームでは気が付かないレベルで綺麗に補完してくれるのだが、相性の悪いゲーム・シーンではOFFにしたほうが快適に感じることもある。
2018/11/22追記
このチラチラ問題が解決する模様です。

Oculus TrayToolというものがあり、ゲームごとに自動的に有効無効を切り替えら機能があるので、相性の悪いゲームはOFFにするようにするとよい。
また、もし45fpsすら割り込むような状況になった場合はまともに補完できず、えげつない動きをしたりするのでそれもOFFにしたほうがよい。
「Oculusは低fps時に気持ち悪い動きをする」といった内容のレビューをどこかで見たが、おそらくそれは45fpsを割り込む状況でASWが働いたせいであり、OFFにしてしまえば別にViveやWinMRと変わらない。
もっとも45fpsすら割り込む状況になるようなら、グラフィック設定を下げるとか、グラボのアップグレードをするべきだが・・・。

レンズが優秀

レンズがよいのは、単純に画質がよいということ。
歪みが少なく綺麗。

デメリット

USB3.0ポートを3つも要求してくる

Rift本体、Sensor2台それぞれUSB3.0を使う。
しかもそれぞれ広帯域を使うため信号劣化やUSBチップ・ドライバの相性問題がキツい。相性問題に巻き込まれると本当にめんどくさい。
うちの環境でもマザーボードUSB3.0だとたまにSensorを認識しないことがあり苦労した。
その場合は相性のよいUSB3.0ボード買うことになるかもしれない。 

 ぼくはこのKT4001という4ポートUSB3.0増設ボードを購入した。
そちらにSensorをつなぐようにしたところ、とても安定している。

 Sensor2台だと公式には360度ルームスケールトラッキングに対応しない

公式のやり方だとデスクの左右にSensor2台を配置することを要求される。
当然背後にはSensorがないので、VRゲーム中に真後ろを向いてTouchが体の前にくるとトラッキングロストして手が動かなくなったり消えてしまう。
(Rift本体は後頭部にもトラッキング用IRLEDがあるので、頭が消えたりはしないので大丈夫)
ほとんどのVRゲームはゲーム内で回転する機能もあるのでそれを使えばいいのだが、やはりPCのVRゲームを真に楽しむためには360度ルームスケールトラッキングは必要だと思う。
そこで公式に対応するためには追加のSensorを1台購入(7800円)して、背後に設置することになる。

ただし、公式ではないものの実はSensorを対角見下ろし配置にすると2m x 2mくらいのエリアなら十分トラッキングする。
つまりViveのベースステーションを配置するのと同じ感じだ。
以前2Sensor対角配置のトラッキング動画を撮った。

こんな感じで案外問題なく360度トラッキングする。ちなみに途中手のグラフィックがコントローラーになるのは床に置いてもしっかりトラッキングしてブレないよ、というのを見せている。(前述の静電容量センサのおかげで、手から離すと離されたということも認識されコントローラーのグラフィックに変わるのだ)
ただ、ぼくはSensor3台にした。当然だが3台のほうが安定するしトラッキング範囲も広くなる。
部屋が広い場合は一緒に追加Sensorも購入したほうがいいだろう。
(当然USBポートが合計4つ必要になるというデメリットも発生する、辛い)

ケーブルが短い

ルームスケールセットアップした場合に発生する問題としてRift自体のケーブルが短い。
部屋を動き回るのにケーブルの長さが足りなくなりがち。
PCを置く位置によっては問題にならないかもしれないが、ルームスケールセットアップしたら延長ケーブルも購入することになりがち。

ちなみに延長ケーブルを買う際は「大は小を兼ねる、値段もそんなに変わらないし長いやつかっとこう」という思考はNG。信号劣化が激しくなるので、必要最低限の長さにしたほうが無難。

拡張性がない

要するにViveトラッカーのような追加トラッキングハードウェアがない。
最近VRChatの流行もあってフルボディトラッキングの需要が高まっているが、公式ではできない。
ただKinectを使うとできるようになるので、導入方法などまとめてあるのでよければこちらの記事もどうぞ。 Viveのベースステーションとトラッカーだけ追加購入してOculus RiftでもViveトラッカーを使ったフルボディトラッキングすることは出来るけど、そこまでするならそもそも最初からViveのほうがいいだろう。

国内の販売代理店などがないAmazonで正式に取り扱いが始まりました

公式サイトからPaypalやクレジットカードで購入するしかない、海外から発送されてくる。Amazonなどで価格上乗せで転売しているのもあるが、手を出さないほうがいいと思う。ハードウェアのシリアルNoとOculusアカウントが紐付けられるのでサポートが受けられなくなるかもしれない。

2018/12/20追記
Amazonでも正式に取り扱いが始まりました。
ただし、相変わらず転売品も出品されているので間違ってそちらを買わないように注意!
メーカー表示がOculusで、販売発送元がAmazonであること(この商品は、Amazon.co.jp が販売、発送します。表記があるいこと)を確認してから購入しよう。
下のリンクは正式なものになってます。

Oculus Rift

Oculus Rift

 

サポートなどは日本語で受けられるので英語でのやりとりが必要になるといったことはない。故障したときも保証期間なら無償で修理・交換してもらえる。

メガネ使用者に優しくない(らしい)

(らしい)というのはぼくは裸眼で問題ない視力があるのでメガネがいらないから分からないので。どうやらメガネはよっぽどスリムなやつじゃないと厳しいらしい。
メガネ利用者は内部にリーフツアラーというシュノーケリング用度付きレンズを装着するのが定番らしい。 

 

よく聞く疑問

SteamVRのゲームを遊ぶのに支障はないのか?

SteamVR自体がOculus Riftに対応しているので、基本的にSteamで買えるVRゲームはごく一部の例外をのぞき動く。
2016年の古い記事だとSteamのVRゲームは遊べないかのような記述があるところがあったりするが、それはOculus Touchが発売前の情報でハンドコントローラーがないため遊べない、といった意味で書かれており、現在のOculus RiftはTouchが同梱されているため基本的に問題はない。

ただViveコントローラーではタッチパッドの部分が、Oculus Touchではスティックのため、タッチパッドしか考慮してないゲームだと操作しづらくなっているゲームは数こそすくないが存在する。
(たとえば、右を選択したいときにタッチパッド右押し込みに設定されていると、Touchのスティックを右に倒してから押し込まないといけない等)
SteamVRで使われているVRヘッドセットのシェアは現在はViveよりRiftのほうが高いため、デベロッパー側も積極的にTouch向け操作の対応もしてくれていると思われる。
また注意点として、ルームスケール前提のゲームはルームスケールセットアップしていない場合は当然問題がでるため注意する必要がある。

ASWはSteamVRのゲームでも動くのか?

動きます。

OculusStore、Steam、両方で売っているゲームをどちらで買うべきか?

OculusStoreのほうが若干安いので値段優先ならOculusStoreだけど、今後他のHMDを買う可能性を考えるとSteamで買ったほうがつぶしが効くと思われるのでぼくはSteam優先で購入している。
また、稀にマルチプレイがOculusStore版とSteam版で別れているものがあるようなので、そういうものだと知り合いと遊べないとかマルチ人口が少ないなどといったトラブルがある可能性があるので、そのへんを考慮して買ったほうがよいと思われる。

Viveと比べてOculus Riftのほうが狭い部屋でも遊びやすいと聞いたが

おそらくそれはOculus Touch発売前の情報。
Touch発売前は着座姿勢でXboxコントローラーで遊ぶものだったので、そういう言われ方をした。
今ではTouchが標準装備になり、遊べるゲームも差がない。
同じゲームを遊ぶなら、同じだけエリアが必要。
Oculus Riftだから同じゲームでも狭くて大丈夫、みたいなことはない。
あえて言うなら、コントローラーが小さいからぶつかりにくい、ということは言えるかもしれないが。

本体はどこで買ったらいいのか

公式サイト一択。
2018/12/20追記公式サイトか、Amazon。 
Amazonはこれまで転売品しかなかったが、2018/12/20から正式に取り扱いが始まったのでAmazonでも買えるようになりました。

Oculus Rift

Oculus Rift

 

Oculus RiftはハードウェアのシリアルNoとOculusアカウントが紐付けられるので転売品や中古など買うとまともなサポートが受けられなくなるかもしれないので注意。

もっと安いOculus Goとどう違うのか

Oculus Goはスタンドアロンで動くAndroidベースのVROculus RiftはPC接続必須のPC用VR。動くゲーム・アプリは別物。どちらかがどちらかの代わりになるようなものではない。

ラッキングの仕組みも違う。